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宗太郎に会える。みんなと遊べる。心も体もうずうずして頬も勝手に緩んでくる。
「宗太郎ーっ!!」
いつもの場所に宗太郎はいた。
嬉しくて大きく両手を振った。https://www.easycorp.com.hk/en/notary 逞しい腕が露わになるのも気に留めなかった。
「三津ーっ!」
宗太郎は誰よりも足が早い。他の子達を差し置いて三津に飛びついた。
「ついに追い出されたか。」
「期限付きやけどね。」
十日したら帰るんだと告げると不貞腐れてしまったが,会えた事が嬉しいのはお互い一緒。何して遊ぶ?と笑みを深めあった。
「ん?」
三津しか見てなかった宗太郎がふと辺りを見回す。
「どないしたん?」
怪訝な表情を浮かべて首を捻るから心配になって顔を覗き込んだ。
「お前変なんに付きまとわれてたりせんか?」
「どう言う事?」
何を言ってるか分からなくて三津も眉間にシワを寄せた。
すると宗太郎は三津から離れて境内をぐるりと軽く走った。
「…気のせいか。三津,歩く時は周りをよう見て歩けや?」
それだけ忠告して,じゃあ遊ぼう。
宗太郎は手を取り,みんなの輪の中へぐいぐい引っ張った。
何で宗太郎にそんな事を言い聞かされてるんだろう。
それでも深く考えないのが三津。
まぁいっかと己を納得させてうずうずしていた気持ちを発散させる事に専念した。
『目ざといヤツ…。あんまり近寄れんな…。』
斎藤は正体までは見破れなかった事にほっと息をついた。
それでも自分が思うような距離まで近寄れないのがもどかしかった。
離れた位置から響き渡る笑い声を聞きながら,斎藤は三津の行動に目を見張った。
「よし,今日はここまで!また明日やな!」
三津は一人一人の頭を撫でて終わりの合図。
みんなを順番に送り届けようと道に出た時,視界に浅葱色が目に入った。
「お三津じゃねぇか!」
体格のいい男が腕を振って近付いて来た。
「あぁ!永倉さん!」
巡察中のみんなと外で会うのはやっぱり新鮮。三津も笑顔で手を振り返した。
「うわっ!壬生狼や!」
だけど永倉の浅葱色の羽織を見て子供達が騒ぎ立てる。
逃げろ逃げろと走り回り,宗太郎だけを残して散り散りに居なくなってしまった。
「あ…。」
きゅっと胸を締め付けられる思いがした。
悲しいような寂しいような複雑な心境が三津の表情を曇らせた。最近はずっと屯所の中にいたから感じなかったけど,新選組に対する町の人間の反応は以前と全く変わってなかった。
あの子供達も,親や周りの大人達が口にするのを聞いて真似をしているのだろう。
「あの…ごめんなさい…。」
シュンとした三津の頭に永倉の手が被さった。
「何で謝る?お前がそんな顔する事はねぇよ。ガキの悪ふざけに過ぎねぇし,第一あんなのには慣れっこだって!」
永倉の励ましの言葉が逆に三津の胸を締め上げる。
『違うんです永倉さん…。』
身内にだって容赦ない姿を見て,自ずと距離をとった。
自分も本当は心の底で同じ事を思ってたんだ。
壬生狼は人斬り集団。血も涙もない奴らだと。
総司に出会って,土方の優しい面を知って,みんなが思うような人達じゃないって分かったのに。
所詮は分かったつもりだっただけで,別の面を見てしまったらもう考えが変わってしまったんだ。
「…三津,お前店番抜け出して来てんねんから早よ帰らな怒られるで。」
三津の傍らで宗太郎がくいくいと手を引いた。
「何だよ案外不真面目な所あるんだな。」